麒麟がくる 第2回「道三の罠」感想


第二回「道三の罠」のあらすじと感想です。
大河ならではの贅沢な合戦シーン、そして無言のセリフの外のセリフの応酬は見応えたっぷりでありました。では以下あらすじと感想です。ネタバレします。

二つの罠

天文一六年(一五四七)
光秀が美濃に戻ってきた。時を同じくして、尾張の織田信秀が二万の大軍を率いて美濃に攻め込んできた。対する美濃勢は四千。
光秀が挨拶に行くと道三は悠揚迫らざる様子で今様を口ずさんでいます。怖いです。
「信秀は金はあるがさほどの人望はない。金が欲しくてお義理で集まったやつらだ。
戦は数ではない、そのことを思い知らせてやる」(罠その1)
「ところで堺は見たか」
「はい」
「どう思うた」
「美濃もあのような豊かな町を持ちたいと」
「豊かであれば無用の戦もしないで済む」
ここで道三は己のポリシーを口走るのですが、十兵衛は次にいわれた「(路銀)半分返せよ」に動転してあまり深く言葉の意味を考えない。ぼんくらです。
「侍大将の首をふたつとったらチャラにしてやる」という利政の言葉に突き動かされ、
戦の間ずっと「侍大将何処ー、侍大将、侍大将、雑魚には用はないわ」と叫びながら侍大将を探し回る。
しかし無情にも退き鉦が鳴らされる。侍大将の首に未練のある十兵衛は退却しない。
すると後ろの利政がいる櫓?から矢がいかけられる。いや、利政怖い。
一度、全軍を城のなかに入れ、「籠城」と触れだす。稲葉良通ら国衆は不満げである。

ここの退却戦の描き方、とっても参考になりました。弓を射て、相手が下がったところで盾を持つ兵士の間を抜けて後ろにいく。全体が下がる(城へ近づく)。また弓隊が前へ出てきて矢をいかける。盾の後ろに下がる。の繰り返し。殿(しんがり)が一番大変、というのが目でわかりました。あと何年かでこの弓が鉄砲に変わるのでしょう。

城のなかでは酒食が振る舞われている。潜入している乱破(らっぱ)からの知らせを受けた信秀は、当日の総攻撃をやめ翌日にしようと、本陣を目指して退却をし始める。
利政豹変。
「芝居はここまでじゃ。今織田軍は我らに背を向けのこのこ歩いている。この機を逃していつ勝てる。音もなく風のように追うのじゃ」(利政怖い)
打って出る美濃勢。慌てて抵抗する織田勢。しかしみるみる討ち取られていく。
十兵衛は相変わらず首探し。まんまと侍大将と出会ったのだが、組み打ちして首を獲ろうとすると叔父の光安に似ている(室賀ではない)。これが十兵衛にひとつの疑問を抱かせる(後述)

信秀の強メンタル

木曽川を命からがら渡った信秀は主従三人になっている。
弟の信康、熱田の千秋氏の討ち死にを聞いてくぅうううと歯を食いしばり
「城へ帰って……寝るか」
寝るのか(笑) 実に戦国っぽくてよいですね。からりとしてます。死んじゃったもんは仕方ねえ、っていう感じ。

一方、無事二つの侍大将首を獲った十兵衛、釈然としないようです。
稲葉山城で負傷兵の手当をする東庵先生に愚痴ります。
「叔父上に少し似ていたのです。急に首を落とすのにためらいが。これが武士の本懐か、武士の誉れかと。こんなことが」
多分『平家物語』の熊谷次郎直実の話から引っ張ってきているような気がするんだけども、似て非なるところはただの他人の空似であって何の交流もなかった。
熊谷は平家の公達と会話をします。自分の息子と同年輩の美少年が「わたしの首は価値がある。さあ早く首を切れ」という。
こういわれて泣く泣く熊谷は公達の首を掻ききって、後、無常に苛まれ出家する。
十兵衛は叔父上に似ていなかったらさような疑問は持たなかったのではないか。上っ面だなぁと思ったことでした。まあ後々、麒麟(戦のない世)を待望する青年に成長することへの布石なんでしょうけども。

頼純毒殺(罠その2)

娘の帰蝶を嫁がせた土岐頼純が戦勝祝いに稲葉山城を訪れます。帰蝶も同席している。
ところで帰蝶は小見の方の看病で小見の方の屋敷にいる(棟が違うだけで城のなかなんだろうか。別の場所とは考えにくい)。どこで落ち合ったのだろう。。。まあ措いておいて。
帰蝶は夫頼純を難詰する、とみせかけて父利政に命乞いをするが、利政は「お前は下がっていなさい」と帰蝶を遠ざける。
「この城の主はみどもでございます。みどもがならぬと申したらあなたさまとて出ていくことはかないませんぞ」
といって織田への内通の証拠を突きつける。(完全に詰んだ気配)

手紙の文字がなんか楷書みたい。あんなにわかりやすい文字(漢字)じゃないし、もう少し雑に描いてあってもいいんじゃないのかな。

「今日は頼純様のご不満をすべてはきだされませ」
といいながら、茶を点てる。そして今様を歌いだす。怖いですね―。番組冒頭で口ずさんでいた今様でございます。ぶるぶる。

凛々しい帰蝶さま&ハイライト

夫頼純を詰る帰蝶
「大桑の城を出発されたとき何故鎧兜を身に着けておいでにならなかったのか」
「浅慮であったかもしれぬ」
「父上、我が夫をお許しください」
利政に向かって深く頭を下げる帰蝶。
「もうよい、そなたは下がっておれ」
父利政を見つめる帰蝶。
黙って横を向く利政。
父の意志が変わらないことを悟り、悲しみの表情を一瞬浮かべる帰蝶。

張り詰めたよいシーンでした。

堀!
合戦シーンはどれも素晴らしかったのですが、なかでも空堀の仕様が凝っていました。
いわゆる障子堀という形の空堀です。稲葉山城にあれがあったとは地形から考えてちょっと考えづらいですけど、あったのかな。発掘は終わっているんだろうか。
当時、堀は必ずしも水を満々と湛えた堀ばかりではなく、とくに山城では空堀が多様されていたそうです。今回出てきた障子堀は漢字のとおり、格子状になっております。ワッフルみたいな感じです。
道三時代の稲葉山城の堀、一体どうなっていたのでしょうか。

この歳、信長 15歳(満14歳)、帰蝶 14歳(満13歳)
こう書いてみると、帰蝶のバツイチ設定がいかにムリなものかがおわかりになるのではなかろうか。そして翌年2月には信長と祝言をあげる。まあ宇喜多の捨嫁が流行ったから、帰蝶をバツイチにしたいのはわからなくもないが、帰蝶には異母姉がたくさんいたのである。現実にはノッブも帰蝶も初婚だったと思います。




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